平成19年3月30日 マイスター通信 第13号
第 13 号
 
 
1 本 の 藁 縄
地産地消推進活動支援委員会委員長 小泉浩郎氏
 
  田舎でしめ縄作りの講習会が開かれた。呼びかけに十数人が集まった。皆農家の跡取り、各家庭の正月神事の担当者だ。 先生は、80歳でしかもまだ2合の晩酌を欠かさないという百姓の現役である。 先ず、縄綯いから始めた。だがこれが出来ない。50代は全く駄目、60代で辛うじて綯える有様。縄綯いは、 マニュアルとして図や文章では書けない。書けても多分両手は動かないだろう。実践のなかで会得するしかない。
  その縄綯いが、手仕事から機械に変わり、材料の藁は化学繊維になり、そして縄は遠く海外から輸入される。藁縄は、 必要ならば買えばよいし代替品はいくらでもある。現実はそうだが、効率や便利さだけを追いかけることによって、 大事なものを失うことにならないだろうか。
  百姓仕事にとって縄綯いは基本作業だった。結ぶにも、担うにも、運ぶにも、入れるにも、敷くにも、 履くにも、そして保温にも、皆、縄が不可欠だ。目的に沿った稲藁の選択、湿り具合と打ち加減、縄綯いのワザとコツ、 何処の軒先に立っても藁を打つ槌音とショリショリと繰りかえされるリズムが聞こえた。右の掌と左の掌の巧妙なワザが綯う1本の藁縄には、 時間(歴史)と空間(地域社会)が織り成す文化があった。
  60年前、祖母は糸をつむぎ絣を手織りした。下戸だが正月のどぶろくは親父の自慢だった。米作り、野菜作り、山菜取り、 きのこ狩り、納豆、味噌、こんにゃく、そば打ちとそれぞれ天狗がいて、中には右に出るものなしという名人もいた。 四季の移ろいの中で自慢話を聞きながら、地のものと手作りを老若男女共に楽しんだ。そこには地域経済を支え文化を伝える地域特産物が 育っていた。
  「一本の藁縄」がムラから消えた。そのことが象徴するように、近代化の代償として地方の文化が1つ1つ灯を消しつつあるように思う 。地域特産物マイスターは、ものや技術に特定された称号だが、単なる「1本の藁縄」ではない。規模や経済だけではマニュアル化できないその土地に根ざしたワザとコツ(文化)を基本に、 「1本の藁縄」が織り成す文化として定着させ、土地ごとの生き方、その土地にしかない暮らし方まで提案することが大事なように思う。
発行 地域特産物マイスター協議会・財団法人 日本特産農産物協会
〒107-0052 東京都港区赤坂1−9−13 TEL:03-3584-6845 FAX:03-3584-1757
URL http://www.jsapa.or.jp
 
 
平成18年度地域特産物マイスターを認定しました。
 本年度の地域特産物マイスターは、別添のとおり17名の方が認定されました。認定者数は、7年目を迎え133名になりました。
 協会ホームページでは、カラー写真入りで地域特産物マイスターの技術内容や活動状況等を載せ、マイスターの方々を紹介しております。
 今後地域特産物マイスターとして、特産地発展のためになお一層活躍されることが期待されております。
 平成17年度地域特産物マイスターで認定されました佐藤征八様(埼玉県比企郡鳩山町・ハーブ)には、平成19年1月4日ご逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
 
「第6回地域特産物マイスターの集い」が2月26日開催されました。
 地域特産物マイスター認定証の交付とマイスターの相互交流を図るための「第6回地域特産物マイスターの集い」が、 2月26日(月)13:30〜16:30、前年と同じ東京都港区赤坂 三会堂ビル石垣記念ホールにおいて開催されマイスター、 関係者100名余が参加され開催されました。この中で、平成18年度認定者の方に当協会小高理事長から、認定証が交付されました。 今後のご活躍が期待されるなかで、代表して静岡県三島市の杉本正博さんから決意が延べられました。
 本年は、新しい試みとして、マイスター認定者の代表4名の方々に、活動の体験発表をして頂き、その後パネルデスカッションによる討論を行い、 マイスターの相互の交流を図りました。コーディネイターは、地域特産物マイスター協議会会長の山田琢三氏にお願いしました。 (詳細は、マイスターの集い報告書)
1. 挨 拶
  主催者挨拶 (財)日本特産農産物協会理事長 小高 良彦
  来賓挨拶 農林水産省大臣官房審議官 佐久間 隆氏
2. 平成18年度地域特産物マイスター認定証の交付
3. 認定者代表挨拶
  杉本正博 氏 静岡県三島市 野菜「小松菜」
4. 地域特産物マイスター活動体験発表
  山本博一 氏(平成13年度認定) 兵庫県篠山市 黒大豆
  中森 慰 氏(平成14年度認定) 三重県度会町 手揉み茶
  関 京子 氏(平成15年度認定) 長野県天龍村 農産加工
  田村照栄 氏(平成16年度認定) 香川県東かがわ市 農産加工
5. パネルデスカッション
  【コーディネイター】 山田 琢三氏(平成12年度認定) 香川県さぬき市 さとうきび (地域特産物マイスター協議会会長)
  【パネラー】 体験発表者に同じ
6. 全体討論
 
平成18年地域特産物の持つ機能性等に関する研究会
「特産農作物セミナー」が開催されました。
 当協会では「平成18年度特産農作物セミナー」を、去る1月25日に(社)日本自転車会館1階ホールで、 80名余の参加者を得て盛会裡に終了しました。
 本セミナーは平成13年度から「健康機能性」と「景観形成」を主テーマに開催してきたもので、本年度は、 ウコンと有色ばれいしょを対象にとりあげました。
 プログラムは、次のとおりです。
ウコンの研究と健康機能性  
  琉球大学農学部助教授              モハメドアムザドホサイン氏(バングラデッシュ国出身)
有色ばれいしょの研究と健康機能性  
  (独)北海道農業研究センターバレイショ栽培技術研究チーム長 森 元幸氏
有色ばれいしょの生産振興と製品の販売戦略  
  武田農場代表(北海道芽室町) 武田幸夫氏
  〈 質  疑 〉  
総括討議  
 
地域特産物マイスターの活動支援
 当協会では、マイスターが研修会などの講師に招かれ、技術の普及、産地の育成等の指導 を行うに際し、その経費の一部を負担するなどマイスターの活動の支援を行っています。
 平成18年に当協会が活動支援を行ったマイスターと研修会等は以下のとおりです。
@平成18年1月16日 針塚 藤重 平成17年度経営改善研究会
(高崎市経営改善支援センター)
A平成18年2月18日 針塚 藤重 第3回「食育」講演会
(岩手県紫波町学校給食食材生産供給組合)
B平成18年1月20日 森口 昌英 熟年者農業実践講座果樹剪定講習
(篠山農業改良事業協議会)
C平成18年3月18日 高橋 良孝 NPO・ジャパン ハーブ ソサエティー名古屋支部記念講演
(NPO・ジャパン ハーブ ソサエティー名古屋支部)
D平成18年3月23日 武井 正征 西洋野菜・ハーブ栽培講習会
(長野県大北園芸振興協議会)
E平成18年4月19日 山口勇次郎 釜炒手揉み茶体験学習会
(嬉野釜炒茶協議会)
F平成18年4月22日 霜多 増雄 お米の勉強会
(西宮市お米の勉強会)
G平成18年6月25日 武井 正征 平成18年度総会ならびに研修会
(社団法人茶道裏千家淡交会関東第2地区学校茶道連 絡協議会)
H平成18年6月8日 井芹 靖彦 「有機野菜サークル」現地研修会
(標津町農協女性部 有機野菜サークル)
I平成18年8月8日 山本 博一
西羅  亨
熟年者農業実践講座現地研修会
(篠山農業改良普及事業協議会)
J平成18年7月2日 脇博 義一 お茶摘み体験 in 富郷
(JAうま富郷出張茶業部)
K平成18年7月6日 井芹 靖彦 栄村ギョウジャニンニクシンポジュウム
(栄村ギョウジャニンニクシン研究会)
L平成18年8月2日 針塚 藤重 北信越ブロック農業法人研修交流会
(富山県農業法人協会)
M平成18年10月19日
         11月15日
小池 彼男 手もみ茶体験学習(白川北小学校・黒川小学校)
(白川町茶業振興会、白川茶手もみ保存会)
N平成18年10月31日 細見 俊昭
山本 博一
丹波黒大豆カレッジ先進地視察研修会
(篠山農業改良事業協議会)
O平成18年11月4.5日 翁長 周子 はえばる 2006 ふるさと博覧会
(南風原町農村生活研究会)
P平成19 年1月19日 森口 昌英 熟年者農業実践講座果樹剪定講習
(篠山農業改良事業協議会)
Q平成19年1月29日 外山 鶴良 平成 19 年中国地方新年ハーブ研修会
(NPO・ジャパン ハーブ ソサエティー広島支部)
R平成19年2月18日 阿部  誠 「ハーブを学ぶ」
(NPO.J.H.Sスクール委員会及び沖縄支部)
 
全国地産地消推進フォーラム2007が開催されました。
 全国地産地消推進フォーラム2007が平成19年3月7日(水)こまばエミナース大ホール (東京都目黒区大橋2−19−5)で開催されました。
 地域で生産されたものを地域で消費する「地産地消」は、農林水産省の新しい施策として新たな食料・農業・農村基本計画においても 「攻めの農政」の一つに位置づけられて、食料自給率の向上に向け全国展開が図られており、当協会もその一役を担っています。
 当協会は、平成17年度から地産地消推進活動支援事業を展開しており、この行事の主催である全国地産地消推進協議会 (会長小泉武夫氏)の事務局と地産地消優良活動者を表彰するための審査会である地産地消推進活動支援委員会 (表彰審査会委員長:小泉浩郎氏)の事務局になっております。次の優良活動者については、この全国地産地消推進フォーラム2007の 表彰式において、農林水産大臣賞、農林水産省関係局長賞が授与されました。
(詳細は、全国地産地消推進フォーラム2007報告書)
農林水産大臣賞
(地域振興部門)
島根県 奥出雲産直振興推進協議会
農林水産大臣賞
(交流促進部門)
長崎県 有限会社シュシュ
全国地産地消推進協議会会長賞(特別賞) 三重県 三重県立相可高等学校食物調理科
農林水産省生産局長賞 青森県 農事組合法人道の駅とわだ産直友の会
農林水産省農村振興局長賞 愛知県 碧南市農業活性化センターあおいパーク
農林水産省生産局長賞 和歌山県 JA「のら工房農直部会」
農林水産省経営局長賞 大阪府 有限会社いずみの里
農林水産省生産局長賞 岡山県 星の郷青空市株式会社
 
また、「顔が見え、話ができる関係づくり交流会〜全国地産地消推進フォーラム2007 」 は、次の内容により行われました。
開催日時: 平成19年3月7日(水)10:00〜16:00
会   場: こまばエミナース 大ホール
〒153−0044 東京都目黒区大橋2−19−5
(最寄駅:京王井の頭線「駒場東大前駅」)
内   容  
  テーマ『ネットワークで拡げる地産地消』
  (1) 全国地産地消推進協議会総会
  (2) 基調講演  
    演題『地産地消が地域を変える』
    全国地産地消推進協議会会長 小泉武夫氏(東京農業大学教授)
  (3) 平成18年度地産地消優良活動表彰式
  (4) 表彰者による活動事例発表
    農林水産大臣賞(地域振興部門) 島根県 奥出雲産直振興推進協議会
    農林水産大臣賞(交流促進部門) 長崎県 有限会社シュシュ
    全国地産地消推進協議会会長賞 三重県立相可高等学校食物調理科
  (5) 平成18年度地産地消関係事業成果報告
    @「地産地消による効果の測定・分析等について」
      財団法人都市農山漁村交流活性化機構
    A「地場農産物の学校給食等地域内活用促進手法について」
      全国農業会議所
 
地域特産物マイスター協議会総会が開催されました
 マイスター協議会総会は、集い終了後、山田会長の司会のもとに出席マイスター全員で開催された。始めに山田会長から「マイスターがお互いに目的意識をきちっと定めあって活動していきたい。マイスターの皆さんは、非常に変化に富む全国各地で広い視点からいろいろな分野を開拓して活躍しておられますので、相互に交流を深め頂きさらに発展するための一助としてマイスター協議会が、役立つようにいてまいりたい。」との挨拶がなされた。議事に入り最初に、平成18年度の決算及び監査報告が事務局及び監事(高橋監事)から提案され満場一致で承認された。続いて平成19年度予算案が事務局から提案され原案どおり承認された。
 平成18年度決算及び平成19年度予算は、次のとおり。
 
平成18年度収支決算
1.収入の部
単位:円
事    項
決 算 額
備     考
前期繰越金
会費収入
 会員会費(16年度)
 賛助会員会費
利 子
136,141
54,000
54,000



( 18人× 3,000 円 )
190,141
 
2.支出の部  
事    項
決 算 額
備     考
活 動 費
  諸 謝 金
  会 議 費
  印 刷 費
  雑   費
次期繰越金
70,638

67,488

3,150
119,503

マイスター通信原稿料
マイスター懇親会費

マイスター通信取材費等
190,141
 
 
平成19年度収支予算
1.収入の部
単位:円
事    項
予 算 額
前年度決算額
備     考
前期繰越金
会費収入
  会員会費
  賛助会員会費
利 子
119,503
51,000
51,000

10
136,141
54,000
54,000



17人@ 3,000 円
170,513
190,141
 
2.支出の部  
事    項
予 算 額
前年度決算額
備     考
会費収入
  諸 謝 金
  会 議 費
  印 刷 費
  雑   費
次期繰越金
170,513
40,000
70,000
40,000
20,513
70,638

67,488

3,150
119,503

マイスター通信原稿料
マイスター懇親会費
マイスター集い等
マイスター通信取材費等
170,513
190,141
 
 
 
 
千 原 信 彦    
地域特産物マイスター審査委員
  (元日本農業新聞論説委員)
 
  佐藤昭人さん(藍師)  徳島県上板町
 勘と体力の名人芸で伝統継承
 徳島県名産の阿波藍(あわあい)は、藩公の蜂須賀家の奨励もあって、今に続く伝統の染料だ。特有のあい色はいつまでもさめないし、 使うほどに色に深みを増す。防腐効果もあり、徳川家康が着用した着物は、400年たった今も1000点、立派に現存する。 佐藤さんはその染料の原料であるスクモ作りを続けて30年、佐藤阿波藍製造所の19代目に当たる。卓越技能者であり、現代の名工であり、 無形文化財でもある。
 藍づくりは春3月、ツバメの飛来とともに始まる。佐藤さんが長年守ってきた栽培法だ。 おじいさんが軍部に隠れて山奥で6年間、命がけで守ったという「白花小上粉(しろばなこじょうこ)」という品種をまき、 これを約1カ月苗床で育て、4月下旬定植する。刈り取りは7月から始まり、9月まで3回刈る。刈り取った葉(葉藍という)を刻み、 葉だけにして天日乾燥、寝床(ねとこという)で発酵させる。この作業が、藍師として一番の苦労どころで、「今も半ズボン、裸足で仕事している」 と佐藤さん。足の感触で温度を感じ、発酵に最も適した70度を保つ。この高温、それに猛烈なアンモニア臭の中で、6人の職人とともに葉藍を慈しむ。 佐藤さんの作業ぶりは、正しく慈しむという表現がぴったりだ。
 寝床は粘土を練り固めた発酵部屋で、ここに2bくらいに積み上げた葉藍を、上から水を打ちながら、約100日間、途中5日目ごと、 計13回の切り返し作業を繰り返して、年末にスクモが仕上がる。
 機械化はだいぶ進んだが、水打ちは今も、桶で井戸水を天秤棒で担い運び、柄杓でまく重労働だ。晩秋になると、 気温の変化におちおち眠ってもいられない。毎晩、窓は細めに開けて寝るほどで、発酵温度を確保するため、低温になればすぐむしろで“布団掛け”をする。 そうでないと「藍が風邪を引く」と佐藤さんはいう。
  できたスクモは15貫入りのカマスに詰め、京都など各地にある染色師に出荷される。 藍染めは、にかわ分が豊富なこともあって、生地を10倍丈夫にし、防虫、防腐効果に優れる。このため昔は皮膚病の特効薬だったほど。藍染めを着た人は、 軽くて楽で暖かいといい、本物を好む人が多くなっている。
 徳島県上板町には21fの藍畑があり、全国の半分のスクモを生産するが、37歳で19代目を継いだ佐藤さんは、
寝床の柱に記録された今年の作業を見る佐藤さん
「一時はやめようと思った」こともある。 「昭和40年ころ、名古屋から片野さんという染め屋さんが来て“1億人いる日本人の中で、 一人くらい馬鹿がいてもいいんじゃないか” と説得されたのが続けられた理由。化学染料ばかりの時代に貴重な助言をくれた」と今も恩人を忘れない。 しかし、今は「絶対絶やしてはならない日本の文化。 私の仕事は100〜200年たってから評価されるもの」と将来を見つめる。
 

 
  田村照栄さん(農産加工)  香川県東かがわ市
 特産パセリで香り高い菓子
 もうもうと上がる湯気の中、蒸した米を丁寧にほぐし、酵母菌を振りかけていく。みそ作りの第一歩、麹作りだ。今年注文を受けたみそは米の容量にして9斗 (135`)分。これを原材料分だけの値段で田村さんは仕込む。田村さんが造るみそは、味がよいと評判で、昨年は7斗だったのに注文がまた増えた。
 田村さんが住む東かがわ市水主(みずし)地区は、74戸中73人が入っている水主第2生活研究グループが組織されている。田村さんはその会長で、 地域の食生活改善の先頭に立つ。冬場はみそ作りや金山寺みそ作りに忙しいが、主力はパセリを生かしたお菓子作り。家にはビニールハウスで栽培するパセリが20e。 もっとも今年は事情があって10eしか作っていないが、これを粉にして、ケーキ材料に練り込む。
  「パセリって飾り物と思うでしょ。自分が栽培すると、食べて欲しいって思うんです。おやつにでもと始めたのがお菓子。こうすることで、少しでもパセリの消費が 増えてくれれば」と田村さん。この粉にするのも電子レンジを使う独特のアイデアだ。摘んだパセリを電子レンジでまず3分。次いで葉の部分だけしごき取って、 されに3分。こうすると簡単にパセリの粉末ができる。この粉は、スープに浮かすなどいろんな料理に使えるが、田村さんはクッキーやマドレーヌ、リンゴケーキにして、 第2、第4土曜日に県道沿いにあるグループの店で売る。香りがよくおいしいとすぐ売り切れてしまう。売り上げはグループの貴重な活動資金になる。 麦焦がしと飴を練った「おちらしあめ」という菓子も作るが、よく売れる。
 このほか、夏休みには子ども達を対象に、伝承料理の講習会を開く。うどんや押し寿司を作って一緒に味を楽しむ。「先輩が、地域のものを子ども達に食べさせたいと 始めたことですが、私たちも次世代につながないと、と思って続けています」。
 月1回のお年寄りを対象にした食事会も、お年寄りはもちろん、作る田村さん達にも楽しみになっている。グループ活動は、この料理作りに加え、手芸で造花や壁掛け、 人形作りなど幅広い。でも過去には「やめようという話が出たんです。でもせっかく続いてきたことだし、と役員を選び直しにかかったら、私が会長に」と平成6年のことを振り返る。
 家は兼業農家で、ご主人は会社員。
みそ作りの最初、米麹作りに汗を流す田村さん
田村さんの手で水稲35e、ハウス20eを管理する。 「食の安全にこだわり、地球に優しい、エコファーマーでありたい。 身体に優しい農産物を食べてもらいたい。これが私のモットーです。だから、子どもにも手作りので、害のないものを作った与えたいんです」と田村さんは毎日忙しい日 を送っている。
 昨年は、同じマイスターに選ばれた熊本県の上田絹代さんが仲間と訪れ、田村さんらと手芸で交流した。「うれしかった。こんなに仲間が広がったことが」と 特産マイスター制度のあったことを喜んでいる。
 
 
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