平成17年6月20日 マイスター通信 第11号
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第11号
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野菜には地域名が付いたものが少なくありません。例えば、ネギでは、「下仁田ネギ」、「岩槻ネギ」、「越津ネギ」、「九条ネギ」、「加賀太ネギ」、「千住黒ネギ」、「深谷ネギ」等があげられます。これらは、いずれも近代育成品種ではなく、地域特有の在来種であり、その優れた特性から全国的に名が知れ渡った故に、産地名が冠されたものと考えられます。まさに、地域特産物の典型と云えましょう。
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発行
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財団法人 日本特産農産物協会
〒107-0052; 東京都港区赤坂1−9−13 TEL:03−3584−6845 FAX:03−3584−1757 ホームページアドレス http://www.jsapa.or.jp |
○平成17年度地域特産物マイスターを募集
当協会は、地域特産物マイスターの公募を本年度も例年どおり行うこととして、平成17年6月1日付け文書で公募を開始しました(別紙1)。本年度も20人程度を認定する予定で、市町村、農業改良普及センターなどからの推薦を、応募期限を9月末日までとして受け付けます。地域特産物の栽培・加工の分野で豊富な経験や技術を持ち、地域特産物の産地育成を支援する役割を担えるような、地域特産物マイスターにふさわしい方がおられましたら是非とも推薦していただけるようお願いします。 地域特産物マイスター制度が平成12年度に発足して以来、5年間で99名のマイスターが誕生しており、それぞれの地域で活躍されておりますが、まだマイスターが不在の県が10県あり、特にそのような県からの応募をお待ちしております。 ○第4回地域特産物マイスターの集いを開催
○平成16年度地域特産物マイスター協議会を開催
○地域特産農業情報交流会議を開催
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無報酬で国産生薬振興に体当たり
「病気にならない体を作るには生薬が一番」という福田眞三さん(78)。奈良県桜井市で古くからの生薬問屋を営む。自宅の屋根の修築時に宝暦年間(1751−63)という文字が見つかったというほど古くからの薬種商だ。「本家の方はまだ古い。徳川時代以前の創業と聞いている。生産地の問屋が家業だが、栽培指導に忙しく問屋稼業の時間がない」ともらすほど、たくさんの産地育成を手がけてきた。
ミシマサイコ産地指導に市町村行脚
良い品−−国産品増産へ情熱そそぐ
ミズナ、九条葱の産地づくりに駆け回る
賀茂なす、堀川ごぼう、九条葱、聖護院だいこん、伏見とうがらし……数ある京野菜の中で、京都府船井郡八木町はミズナと九条葱の産地だ。その振興に体当たりしたのがJA京都八木支店生産課長の今林長夫さん(53)。現在8.5fの雨よけハウスでミズナ、ネギが栽培されているが、「他産地がたくさんでき競争が激しくなった。今後を考えると今が正念場」と危機感を募らせながら、おいしい京都産野菜の売り込みに熱を入れている。
不安の中、生産者説得に日参
次の作物選定に準備始まる
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「地域活性化に夢を求めて」 ジネンジョ 山縣繁一さん (茨城県北茨城市) ジネンジョのマイスター山縣繁一さんは、茨城県北茨城市でジネンジョの栽培指導に当たってきている。現在、56歳、中山間地域で自ら栽培技術の実践者、リーダーとして働き盛り、多くの仲間の信頼を一身に集めて活躍中である。山縣さんは、地元の農業高校を卒業すると農協に勤務。農産物の販売事業等に従事する一方で、弱冠28歳の若さで市会議員に当選、農協幹部の理解の下で37歳まで農協職員と議員を兼務、その後農協を退職し、議員を4期16年44歳まで務めながら農業に専念。37歳で農協を退職したが、当時は父が元気で水田を中心の農業を営んでおり、山縣さんには、耕地が僅かしかなかったので、経営面積が少なくても可能な農業、地域の気候、風土を活用できる資源を探した結果、この地域の山野に自生しているジネンジョに着目した。調べたところ全国にはジネンジョを栽培している人がかなりいることを知り、尋ねて回る。栽培容器にパイプを利用した山口県の政田さんらの技術に学び、地域の5人の仲間と技術を導入して開始した。品質の良いものが生産できたが、容器代が嵩み、労力もかかるために順調には進まず、始めて3〜4年目に生産が低下した。経費がかからず、収穫作業が簡単な栽培法はないか、水田の畦に漏水防止に使用されているビニールシートを使用してみよう、と考え使用した結果、これが経費もやすく、収穫も簡単、品質も上々であり、平成の始め頃から仲間の賛同を得てこの栽培法を取り入れて生産量は、順調に伸び始めた。 −栽培技術を公開− 現在の組織は、「北茨城自然薯研究会」会員37名の会長である。順調に伸びてきた生産、この技術を多くの人達に知ってもらい、ネットワークを作って行こうと考え、技術を公開しようと提案。当初は会員の中で公開することに反対の意見もあったが、ジネンジョへの話題性を多くの人から得るためには必要ではないかと皆さんの合意を得て平成12年公開に踏み切った。平成14年には、NHKの「食べ物新紀行」で紹介され、全国から照会の電話が殺到、パニック状態になる嬉しい悲鳴となった。現在、全国に500人余のジネンジョ愛好者がおり、視察などに追われている。 山縣さんは、もう一つの本業も営んでいる。「そば道場」ジネンジョと山菜などを利用した季節料理を提供、平日でも愛好者が沢山訪れ味を楽しんでおり、土日は大変な盛況である。 また、この道場は、そば打ち体験も予約で受け付けて、山縣さんが講師となってジネンジョとそばの美味しさを広めている。山縣さんは、ジネンジョだけでなく、他の多くの活動組織との連携を深め、地域経済・地域の活性化を常に考えて活動しており、現在、高齢者を中心とした山野草や切り花の生産の組織化にも力を注いで来ている。これら組織の連携のための事務局的な役割を果たしてきたが、多忙から十分な活動が困難となったため、平成15年にNPO法人「リフレッシュ」を茨城県知事の認可を得て設立し、花を活かした町づくりなどの活動を進めており、副代表として忙しい毎日である。 <写真:常磐自動車道北茨城インターから北西に5km TEL 0293(42)3306> |
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