平成15年1月20日 マイスター通信 第5号
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第5号
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日本経済は長く停滞が続いており、中国などのめざましい経済発展と比べると、日本はもはや過去の国になってしまったのでは、と言った感を持つ人も多いのではないかと思います。いずれ、日本経済も立ち直るとは思いますが、今後も、皆が目標に向かって前へ前へと努力すればより豊かな生活が送れた、昔のような高度経済成長を達成することは困難でしょう。それは、日本経済がキャッチアップの時期を過ぎ、既に一人当たりGDPが世界のトップクラスの水準にあるからです。現在我々は、成功した前例をいかに効率的に学び実践していくかではなく、今までにないモデルを作っていかなければならない、という立場にいるのです。今、日本が苦しんでいるのは、過去の負債を精算し、より自由度の高い、創造性を発揮できるような社会・経済構造に変えようとしているからだ、といった見方もできるでしょう。いずれにせよ、モデルのない立場では、経済成長のペースは落ちざるを得ません。これを「成熟経済」、と呼ぶ人もいます。 このような成熟経済下では、人々の購買行動も大きく変わってきます。基本的に豊かな状態にあるので買いたいものが限られる上、もっと豊かになれるという見込みが立たないので購買には慎重です。そのため、自分が一番いいと思ったものだけを選んで買う一方、こだわりのないものは、とにかく安いものを選ぶ傾向が顕著になります。また、多くの人は努力しても報われるとは限らないなら、生活をもっと楽しもう、と考えるようになると思います。これらに加えて、BSE問題に代表される、「食」と「農」の距離が離れ、どんなプロセスを経て作られたものかわからないことに対して、不安を感じる人が増えています。 このように考えてくると、マイスターの役割が明らかになってきます。それぞれの地域が素性のはっきりとわかる、物まねでない「本物」を作れるように、その優れた技術とその技術を支える筋の通った考え方を伝えることです。また、その「本物」が確実に消費者の手に渡り、その価値が理解されるようにすること(マーケティング)も重要です。 「良いものであれば、相当の対価を払ってもいい」という消費者は確実に増えています。このような消費層に選ばれるためには、生産者自身が「これが良いものだ」という信念を持って、もの作りに取り組んでいく必要があります。マイスターの方々には、その手本になっていただきたいのです。 |
発行
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財団法人 日本特産農産物協会
〒107-0052; 東京都港区赤坂1−9−13 TEL:03−3584−6845 FAX:03−3584−1757 ホームページアドレス http://www.jsapa.or.jp |
○平成14年度地域特産物マイスターを認定しました。
当協会は本年度の地域特産物マイスター23名を11月5日に認定しました。10月29日の審査委員会における審査を経て、11月5日付けで申請者・推薦者・都道府県等関係者に通知するとともに、その後新聞公表等を行っています。 協会ホームページにも、別添のとおり写真入りでマイスターの技術内容や活動状況等を載せていますので、是非ご覧になって下さい。 本年度の認定者は23名で、分野は多岐にわたっていますが、お茶や特産野菜の分野が目立っています。年齢は41歳から74歳で、平均年齢61.6歳と昨年より少し若くなっています。平成12年に始まって以来、3年間で34都道府県から62名の方が認定されています。 すでにご案内しておりますとおり、2月24日に開催される「第2回地域特産物マイスターの集い」の場で認定証を交付することとしています。 ○「第2回地域特産物マイスターの集い」を開催します。
○特産農作物セミナーを開催しました。
○マイスターの活動を支援します。
○全国ハーブサミット那覇大会が開催されました。
◇第11回全国ハーブサミット(那覇大会)を終えて◇ NPOジャパン ハーブ ソサエティー沖縄支部長
地域特産物マイスター(ハーブ) 翁長 周子
日本特産農産物協会が第1回大会から後援し、開催を支援して来た全国ハーブサミットが今年で第11回を数え、祖国復帰30周年を迎えた沖縄県那覇市において、去る11月14日、15日の2日間盛大に開催されました。記念すべき年の開催となり、一般市民の関心も高く、会場は多くの人々であふれ、熱気が感じられました。 日本特産農産物協会の西尾敏彦理事長には来賓祝辞を賜り、大会を盛り立てて頂きました。実行委員の一員としてこの場を借りて心から御礼申し上げます。 「ヘルシーリゾート癒しの島」をテーマに掲げ、 大会一日目の基調講演では、琉球料理研究家の松本嘉代子先生が「沖縄の食文化と長寿」と題して、沖縄に昔から伝わる「医食同源」の考え方と食材の選び方、調理法について詳しくお話下さいました。他府県からの参加者の皆様にとっては、聞きなれない言葉や独特な野菜の名前などが多くて意味不明の部分も多かったと思いますが、これも又、文化の違いを感じて頂く良い機会になったのではないでしょうか。 続いて行なわれた事例発表においては、「香り文化」「食文化」「まち興し」と3つのテーマで県内からそれぞれ三人の方の活動や研究を20分程度にまとめた発表が行なわれました。 2日目は3つのテーマごとに会場を分けて、分科会が行われました。各分科会共に講演とパネルディスカッション形式でテーマに沿った話し合いが行われました。「まち興し」の分科会では地域特産物マイスターの高橋良孝氏の司会進行のもと、同マイスターの富田忠雄氏が講演をなさいました。 北海道富良野地方がラベンダー栽培で日本中から多くの人々を引きつける魅力あるまちになるまでの地道で長い活動の歴史の一端を伺うことが出来ました。富田氏は「人が平和を感じ、幸せを感ずるために、とても大切な仕事は農なんだ」とおっしゃいます。 それぞれが色々な分野でマイスターの認定を受けた私達地域特産物マイスターですが、基本的に「農」を真剣に考え、感謝の気持ちで自然と向き合う姿勢はきっと皆さん同じなんだと実感しました。 私も「食文化」の分科会の司会進行役を務めさせて頂き、食文化研究家の北村光世氏の講演と沖縄各地で活躍されている3名の方々をパネリストに迎えて、「食」について貴重なご意見を伺うことが出来ました。 「食」とは空腹を補うだけではなく、身体をつくり、エネルギーの源となり、共に食する事により、人々の心を補い、連帯感と絆を強めてくれるのだと、つくづく実感いたしました。 「食」の質を高めることが「人」の質を高め、その人々の集まりである「国」の質を向上させることになり、人々の思いと行動を左右し、真に健康で、幸せに長生きできるようになる。その連鎖していく根源に「農」と「食」が、大切なキーワードとなっていることを再確認いたしました。 伝統的な文化や技術の継承の難しさに苦悩しながらも、あきらめず根気強く努力を積み重ねておられる先輩方の姿に励まされ、今後益々地域特産物マイスターの役目を果たすべく、努力精進の必要性を強く感じた大会でした。 この全国ハーブサミットとは、全国でハーブによるまちづくりに取り組む自治体と関係団体が集い、相互の情報交換を行なうとともに、ネットワークを確立し、生活文化と産業の振興などに期することを目的として開催されているものですが、地域特産マイスターの皆さまにも近くで開催の折には、是非一度参加して頂き、異なる分野の作物である「ハーブ」を知り、各自の取り組みに参考になる情報を得る良い機会にして下さいますようにおすすめいたします。(次回は来年7月に石川県珠洲市での開催の予定です。) 500人を超える人々の集まる大会で発表の機会を与えられ、大会運営のお手伝いをさせて頂けたのも、「ハーブ」と出会い、喜びを感じつつ普及活動を長年続けて来た私を認めて下さった「地域特産物マイスター制度」のお陰だと心から感謝し、お礼の意を込めて、報告をさせて頂きました。ありがとうございます。 (写真:開会式における翁長那覇市長挨拶) |
あんぽ柿の改良に情熱を燃やす 立花 孝全さん(65歳=福島県梁川町)
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