平成14年4月10日 マイスター通信 第3号
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第3号
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平成12年度に発足した地域特産物マイスター制度による初めての地域特産物マイスター会議を,2月25日東京都港区・三会堂ビル石垣記念ホールで開催しました。
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発行
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財団法人 日本特産農産物協会
〒107-0052; 東京都港区赤坂1−9−13 TEL:03−3584−6845 FAX:03−3584−1757 ホームページアドレス http://www.jsapa.or.jp |
○地域特産物マイスター協議会が設立されました。
2月25日,「地域特産物マイスター会議」の開会に先立ち,マイスターの方々が集まって,マイスターの相互の連携・交流を図ることなどを目的とする「地域特産物マイスター協議会」を設立するための打合会が開催されました。その結果,出席者全員の賛同を得て規約(別紙1)が承認され,同日付けで「地域特産物マイスター協議会」がマイスターの自主的組織として発足することとなりました。 この協議会の主な事業は,年1回の総会のほかマイスター会議や地域特産農業情報交流会議への出席,研修会の開催,ニュースレターの発行等情報の収集・提供等となります。役員については,当日は会長を香川県の山田琢三氏にお願いすることのみ決定し,後ほど会長と事務局が相談し,協議会の役員は別紙2の方々にお願いすることになりました。会員の皆様にはご承認下さいますようお願いします。事務局は当協会が担当し,会の運営のお世話をしてまいりますので、何かとご協力の程よろしくお願いします。 ○地域特産農業情報交流会議を開催しました。
○全国ハーブサミット那覇大会が11月に開催されます。
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地域特産物マイスターの皆さんの技術や活動状況については,マイスター認定者の概要として簡単にまとめたものが公表されているのみですので,もっと詳しく知りたいとの要望もあり,このたびマイスター審査委員の一人である千原信彦氏に3人のマイスターについて現地取材していただきました。今後順次マイスタールポとして掲載していきたいと考えておりますので,取材の際にはご協力よろしくお願いいたします。
1.中国産畳表の輸入攻勢の中で奮闘 広川 広志さん(57歳=広島県福山市)
中国産畳表の攻勢に悩まされ続けている「備後表」の産地、広島県福山市
で頑張る広川広志さん。慶長年間(1,600年代)に始まったといわれる手織り機を今も大事に使いながら、「耐久力が断然違う」という備後表の保存に意欲を燃やす。 福山地方のイグサは、岡山県から移ってきたといわれる。それが温暖少雨という気候風土にマッチし、急速に面積を増やした。 一方で戦国武将の福島正則、それに水野、松平、阿部といった歴代福山藩主の奨励もあって、厳しい品質管理のもとで最高級の畳表として名を高めた。備後表はもともと細いイグサだけに織り目が細かく、織り込み本数が多く密度が厚いのが特徴。また、色あせは仕方がないが、きれいなあめ色になってからの耐久力が、他産地のものとは断然違う。最近は、シックハウス症候の原因であるホルマリンなどをイグサが吸収するとわかり、「これを畳復権のPR材料にしたい」と広川さんは意気込む。 慶長年間にできた手織り機は、手織り中継ぎ表といい、短いイグサを活用し上質の畳表に仕上げる技術。広川さんは1.8ヘクタールと県内第一のイグサ生産者であると同時に、この手織り技術の伝承者であり、小学生などの見学やイベントでの展示などに活 躍、広川さんは引っ張りだこ。「畳は物を落としても音が響かない、さわやかで温かみのある敷物。茶室なんかだと備後表でなくちゃ、と注文してくれる人が多い」といい、「畳文化はなくならないだろうが、中国産には頭が痛い」と嘆く。実際、1畳当たり15,000円する国産畳表が、中国産だと500〜600円。「まるで大相撲の曙とありんこの勝負。同じ土俵での勝負じゃない」と悔しがる。 伝統ある畳文化を絶やしたくない広川さんにとって、奔流のような中国製の畳表はなんとしても納得が行かない。一時期全国で13,000ヘクタールあったイグサの栽培面積が、1,970ヘクタール(2001年)にまで減った。広島県藺業協会でも「国内需要をまかないきれない現状だから、輸入はしなければならない。ただ、あふれかえるような輸出攻勢は問題」といい、節度のある輸入を望む。全国の需要量は2000年度で3,350万枚から3,430万枚と見られる。これに対して生産量は約1,400万枚。つまり自給率は約40%。輸入量は2,030万枚あれば需要と供給が合致する。「25年前から値は上がってないんだから」と輸入商社の姿勢に自制を望むのが広川さんらの願望だ。 イグサの栽培は確かに機械化が進んでいる。植え付け機に若干問題はあるものの、一番労力のかかる収穫、泥染めはかなり楽な作業になった。それでも朝夕に刈り取り作業、日中は泥染めと連日の重労働が続く7月は、さすがにきつい毎日。それだけに後継者不足は深刻だ。広島県内の栽培者は130戸、47ヘクタ−ル。ほとんどが栽培から織りまで手がけるが、原草売りといって泥染め乾燥したものを織り屋さんに売る農家もいる。「日本の風土に合う敷物は畳が一番。早く中国との関係を改善して適正な競争、それも品質で勝負したい」と広川さんは将来に望みをつなぐ。 (写真:短いイグサも生かせる中継ぎ表を見せる広川さん夫婦)
2.伝統の味「白下糖」にかける親子の情熱 山田 琢三さん(70歳=香川県さぬき市)
3.転作契機に攻めの農業へ大規模稲作と黒豆栽培 東内(とうない)秀憲さん(70歳=岡山県美作町)
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