調査年度:平成18年度
都道府県 市区町村名 人口 標準財政規模
福井県 池田町 3,585人 2,012,643千円
ホームページアドレス http://www.town.ikeda.fukui.jp/
施策名 農村の力を活かした環境のまちづくり
担当部課名 振興開発課
電話番号 0778-44-6000
施策の分類 M 施策の開始年度 平成16年度
予算関連
データ
事業費総額 Q 5,650千円
事業期間 平成16年度から平成−年度まで
補助制度・
起債制度等
名 称 所 管 金額(千円)
地域イベント助成事業(財)地域活性化センター1,000
施策の概要
1. 取り組みに至る背景・経緯・目的
池田町は、岐阜県との県境福井県の東南部に位置する山村で、人口は約3585人高齢化率が36.9%と県で最も高い過疎の町である。また、面積は194.72平方kmで山林が9割を占め、九頭竜川水系足羽川の水源の町でもある。小さい町であるがゆえ、人々の心に農村特有の相互扶助の精神が今も残り、自然と共生する知恵、人々の心を癒す緑に囲まれた空間に恵まれている。池田町ではこうした価値を「農村力」と呼び、これを学び模索しながら活かすことで自然や環境に配慮しつつ心豊かに暮らせるまちづくりを実践している。
池田町の独自栽培基準と認証制度「ゆうき・げんき正直農業」で栽培される農産物は、県内自治体に先駆けて福井市のショッピングセンター内に出店した「こっぽい屋」で大変な人気を呼び、年間1億円の売上げをあげている。
 このほか、農業に環境を連結循環させる事業として、生ゴミを牛糞・もみガラを混ぜて堆肥化する「食Uターン事業」に取り組み、特徴は生ゴミの回収を町民で組織するNPO法人「環境Uフレンズ」が回収を担い、できた堆肥は「土魂壌(どこんじょう)」と名づけられ、製造過程からでる有機質液は「ゆうきの液肥」となり、堆肥をベースに県内産ゼオライト等を混ぜて作った土は「ゆうきの土」として商品化されているところである。
 こうした取り組みの中で、池田町の環境づくりは町民みんなで少しずつの力を出し合うことが大切と認識し、一般住民100人の策定委員で「100人のパートナー会議」を組織し、無報酬・手弁当での環境向上基本計画づくりを行った。その後メンバーは行政に提案するだけでなく自らの行動を実践するため、実践団体「環境パートナー池田」を設立し、環境向上行動リーダーとして柔軟な発想と力強い環境運動を展開している。

2.事業内容
これまでの取り組みを活かし、環境からのまちづくりを経済につなげていくため、様々なプロジェクトに取り組んでいる。
エコポイント事業
 地域商業の活性化と経済の循環さらには地域通貨への展開を目指し、マイバッグ運動などの環境行動をすると町内商店でポイントを発行し、10ポイント50円の商品券として利用できるエコポイント事業を実施している。
リサイクル
 資源リサイクルの取り組みとしては、ごみゼロを目指し役場においては紙ごみを全てリサイクルする「紙資源再生100運動」を展開し、紙を12分別して全てリサイクルにまわしている。今後は町内事業所にも広げていきたいと考えている。また空き缶・ペットボトルの回収機を設置し、「みんなのエコステーション」として位置づけ、住民による資源の拠点持ち込み方式の実験とエコポイントとの連携さらには回収資源販売による行政コスト低減も実験中である。
菜の花プロジェクト
菜の花を栽培して池田町産菜種油商品開発や地産地消への利用、搾りかすによる堆肥のパワーアップ、廃食油をバイオディーゼル化し生ゴミ回収用トラックに利用することでエネルギーの節約と菜の花の景観づくりも目指している。
C10,000本のエコキャンドル
 町民との協働と環境を象徴するイベントとして平成17年10月に「10,000本のエコキャンドル」を実施した。家庭で使用済みの天ぷら油を再利用して、芯作りからろうそくに仕上げるまで、環境団体のメンバーはもとより、保育所の子供たちからディサービスに通う高齢者まで多くの町民がかかわり、参加した。自ら汗を流し協働すること、思いを共有することが大きな感動を呼んだ。平成18年度では、環境の視点に加え、地元食材を活かし地域力をつけるイベントとして町民総参加のイベントをめざしている。

3.苦労した点、効果
環境行政では、自助・共助・公助の共助が重要であるが、いろいろな人の思いをとりまとめることが困難になることがある。行政主導で行うと、住民に受身の感情がおきてしまうため、行政職員も一人の住民のリーダーとして事業を創り上げることが苦労する点であり、また成功させる秘訣でもある。多くの人の取り組みを通じて住民に浸透し過疎化・高齢化・豪雪地帯など不利な条件にもたじろがず、町民一体となった創意工夫で「農村力」を活かし、環境への取り組みを進めているとの評価を受け、(財)社会経済生産性本部主催の「第5回自治体環境グランプリ」において最優秀の環境大臣賞を受賞するという評価をいただけた。