調査年度:平成15年度
都道府県 市区町村名 地方公共団体
コード
人口 面積 標準財政規模
高知県 葉山村 394084 4,425人 67km2 1,853百万円
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施策名 葉山村エコビレッジTOKONABE拠点整備事業
担当部課名 産業課 電話番号 0889-55-2021
施策の分類 JL 施策の開始年度 平成14年度
予算関連
データ
事業費総額 89,935,650千円
事業期間 平成14年度から平成14年度まで
補助制度・
起債制度等
◎平成14年度 高知県市町村活性化総合補助金 42,500千円
◎辺地債 42,500千円
施策の概要
 床鍋地域は葉山村の最南端に位置し、村中心部からもまた周辺地域からも急峻な山に遮られた辺地地区にも指定されている山間の小さな集落です。
 かつては山景気に沸き、小、中学校も存在する活気のある地域でした。
 しかしながら、時代とともに過疎化・高齢化が進み、平成15年4月には集落人口143人、高齢化比率42.0%と集落機能の維持さえ危ぶまれる状況となりました。
 このような中、集落の有志数名から「このままでは床鍋集落は消滅するから集落の活性化の取り組みを行いたいが、手法のアドバイスや支援がもらえないか」と言う申し入れがあり、この時から地域住民と行政の二人三脚での集落再生がスタートしました。集落の現状を見つめ直し、将来像を徹底的に語り合おうと言うことで、20代から50代の10数名の住民で「とことん会」を結成して、第一段階を「行動」として取り組みました。とにかく何でも行動してみようということで、集落の基幹道路を覆い茂っていた人工林の伐採を行いました。この伐採事業では集落内の森林所有者は所有権を放棄し、集落外の森林所有者への伐採交渉も全て住民で行ない、伐採当日は、集落全員が参加し、女性は炊き出しを行ない、男性は伐採作業を担当し、役場職員もともに汗を流し、集落は見違えるように明るくなりました。
 この活動が地域の自信と「とことん会」の結束強化にもつながり、次の段階に進むこととなりました。
 第二段階は、集落の将来像を描くことを目的に取り組みました。この取り組みでは、「この地域に何が不足しているのか」「地域の誇れるものは何か」「地域の欠点は何か」「自分たちは何がしたいのか」また「何ができるのか」このような会合を数十回行ないました。この間には現場踏査やワークショップ方式の会議を実施するなど「住民参加型」以上のまさに住民手づくりの計画策定を行ないました。
 その間、行政はプロデュースとサポートに徹して、住民の夢実現のための事業導入などに奔走しました。
 この第二段階の取り組みにより、次のような青写真を描きました。

1.地域の将来像
 閉鎖的な地域からの脱却を図るために、これまでは財産として意識していなかった「地域の自然」と「廃校」を活用して、地域住民が楽しみながら地域外の人々も訪れ、時間の緩やかな流れを体感できる地域を目指す。

2.中核施設の概要
 廃校の改修を行ない集落活動、交流活動の拠点施設とする。改修工事等の施設整備は、行政の事業導入に期待するが、整備後の維持管理、運営経費等は集落経営で運営する。
 また、初度設備、運営資金等のための出資金(400万円)を集落全員で負担することし、運営管理者一名が常駐し、その他の人員は集落内でのワークシェアリング方式を導入し、地域の就労の場の確保を図る。

3.中核施設の機能
(1)集落生協(集落コンビニ)
 集落の利便性の向上を目的として、「森のおみせ」を経営する。
経営安定のために、集落協定(世帯別の購買目標の設定)を結び経営者=消費者の徹底を図る。また、集落内で生産された農産物の販売も行ない、地産地消活動の推進も図る。
(2)居酒屋
 集落の憩いの場と情報交換の場として活用する。また、農作業の休息の喫茶室としても利用する。また、地域外の利用者並びに宿泊者の食堂としても利用。
(3)宿泊室
 学校の雰囲気をそのまま残して、家族、合宿利用者の交流人口拡大を目的として宿泊機能を整備する。

以上のような、集落の夢を描き第二段階を終了し、次の段階に進みました。
 第三段階は、順次行ってきた住民主体のソフト事業をハード事業に移行させる作業を行うこととなりました。ソフト事業によって策定した「集落活性化プラン」を基に、高知県総合補助金市町村活性化事業を導入し、施設整備を行ないました。この事業の実施計画、設計段階においても住民参加方式を徹底し、発注後の設計変更においても住民意向を充分に盛りこんだものとしました。
 この事業は、長期間にわたってソフト事業を展開した後にハード事業に移行しましたが、あくまでも「施設整備ありき」で出発したのではなく、事業が導入できない場合や財政状況によっては「夢」に終わる場合があることを前提に取り組んだため、非常に粘り強い取り組みが必要でした。また、閉鎖的な地域であったことから、会が活発化するまでの誘導とソフト事業の重要性の認知に相当期間を要しました。
 さらに、予算確保、事業導入に際して議会を含めた意志統一においても「老朽化した廃校の改築」「集落経営」「集落生協」「居酒屋」というように、一般的に行政にはなじみのないものであり、また未知の部分が多く、大きな労力を費やしました。
 現在、集落での運営が開始され、日中、夜間ともに集落の人々が集い、地域全体が明るく活発な雰囲気に変わりつつあります。また、他地域からの訪問者も多く、祝祭日にはかつて経験したことのないにぎやかな状況が生まれています。
 さらに、運営を通じて地域住民の絆が強くなり、将来的に農村体験事業を実施する新たな計画づくりを始めています。