地産地消優良活動表彰者の概要
 
農林水産省経営局長賞
表彰団体名 鳴神の庄 出荷者協議会
代 表 者 諸熊 雅博
所 在 地 佐賀県七山村大字滝川 (現在:唐津市七山滝川)
 
表彰理由
鳴神の庄 出荷者協議会は、第3セクターの経営する直売所「鳴神の庄」に出荷する生産者の集まりであり、高冷地の特徴を活かした土づくり、品種選択、栽培技術、特産品開発等基本技術の確立を核に、安心・安全と安定供給に成功している事例で、中山間地域の農業振興、地域活性化の模範として評価できる。
平成4年4月村内全14集落の役員、生産7部会・加工1部会の代表で構成する「鳴神の庄出荷協議会」設立
安全・安心な農産物の生産研究、各種イベントの企画に関わり、地域起こしの中心として活動
高齢者、主婦など幅広い活動を展開し、生き甲斐や健康づくり、農地の荒廃防止等の役割を果たしている。
 
 昭和61年12月、村内の国道沿いに点在していた無人販売所を一カ所に集め、七山村が運営する農産物直売所「鳴神の庄」がおーぷんし、昭和63年に「七山村振興協議会」が設立され、「鳴神の庄」を核とした農業振興と地域活性化に取り組む体制を整備した。平成4年4月に組織の見直しにより「鳴神の庄」部会が独立し、「鳴神の庄出荷者協議会」となり、平成6年4月「株式会社鳴神の庄」(七山村を主体とする第3セクター)を設立した。
 以来、農産物等の販売促進はもとより、安全・安心な農産物の生産研究や運営・各種イベント企画などに積極的に関わり、平成15年度には、積極的に経営にも参画したいとして、53名の個人株主(1人2口10万円)が誕生し、地域起こしの重要な柱となっている。
 また、直売所において村内で生産された農産物や農産加工品を販売することにより、高齢者や主婦など幅広く経済活動の機会を拡げるとともに、農作業による生きがいや健康づくり、農地の荒廃防止等にもつながっている。
 このように、「鳴神の庄」とこれを支える出荷者協議会は、七山村農業の振興を図るうえで、欠くことのできないものである。
 また、「鳴神の庄」は、年間約3億円を販売する、村を代表する小売業であり、また、村内で生産された農産物や農産加工品を同直売所で年間100万円以上販売する生産者は約50人おり、高齢者や女性などに幅広く経済活動のチャンスを拡げ、農作業等による生きがいや健康づくり、農地の荒廃防止等七山村の活性化に大きく寄与しており、今後の地産地消運動の模範と言える。
 
【中心として取り組んでいる活動】
 「鳴神の庄出荷者協議会」は、会長、副会長を中心に各集落の地区役員、各生産部会の代表者と相互に連携をとりながら運営されており、地区役員会を2ヶ月に1回定期的に開催し、組織の運営やイベントの企画、売上等の情報交換を行う。
 また、出荷者全員に対し、年1回の総会、全体研修会、先進地視察研修を実施し、お互いの親睦と交流を図っている。
 「鳴神の庄」の特徴は、「新鮮・親切・信頼」を運営方針に、村内在住生産者が出荷した農林産物の委託販売所ということである。出荷品は七山村で生産されたもの(加工品は許可のあるものに限る)だけであり、価格は各自で設定し、売れ残り品は当日閉店後、必ず持ち帰ることとなっている。このことは、安全・安心な食料(食品)を求める消費者のニーズに応え、生産者の顔も見えるということで、消費者との新しい交流関係が生まれている。また、特産野菜や有機野菜等、少量多品目の生産に努めている。
 生産部会では、きゅうり、なす、わさび、生姜、梅、お茶などの部会ごとに、栽培技術の確立や新たな品種の検討、農産加工品の新商品作りの提案を行っており、消費者のニーズに応えるべく、安全・安心な農林産物の生産拡大と付加価値作りに取り組んでいる。
 また、これまでの活動の中で地産地消に取り組む農家が中心となって、都市の一般消費者を農家に宿泊させ、農作業を体験しつつ、農業への理解醸成を図るなど、地産地消に積極的に取り組んでいる。