地産地消優良活動表彰者の概要
 
農林水産大臣賞
【地域振興部門】  
表彰団体名 JA秋田やまもと食農実践会議
代 表 者 米森 萬寿美
所 在 地 秋田県山本郡琴丘町鹿渡
 
表彰理由
JA秋田やまもと食農実践会議は、地産地消を推進する総合的な実践母体で、 地域総ぐるみで地産地消の幅広い活動をバランスよく実施し、総合的な成果を上げている。
地産地消運動の関係者は、生産者400名(地産地消隊:全JA職員、JA女性部、 新規就農者グループ、グランママシスターズ:郷土料理達人、給食グループ等) 消費者1,000名(JAやまもとファンクラブ会員等平成16年度各種イベント参加者) その他300名(関連事業参加小中学生)と、地域総ぐるみの活動である。
地産地消運動の目的を@消費者ニーズを捉えた安全で良質な農産物の提供、 A子どもたちへの食育の推進、B伝統食の復興と郷土料理の新たな開発におき、 関係機関・団体及び関係者の提携と協力により、農産加工、郷土料理達人制、直売所、学校給食、 食農教育、消費者との交流等、幅広い活動をバランスよく展開している。
地産地消運動の基本は、安全で良質な農産物の提供にあるとして、JA部会丸ごとエコファーマー認定を推進、 16年度ソラマメ部会等3部会98名が新規に認定をとっている。
学校給食への食材の提供と農業体験は、新規就農者グループを中心に展開し、例えば、まるごと地産地消の給食日には、生産者も一緒に食卓につき子供達と語り合う。
JA女性部で構成される郷土料理の名人(伝承人)「グランママシスターズ」制度は、これまで25人が認定され、地域特産物を活用した郷土料理のレシピ発行、料理の出前講習、地産地消弁当、地産地消おせち「ごっつお」の開発等地元食材の利用拡大とコンビニ業界、観光業等との連携を図っている。
以上のようにJA秋田やまもとが総力を結集し、関係者から成る食農実践会議を核として、地産地消の幅広い活動を地域総ぐるみで実践し成果を上げていることが、高く評価される。
 
【中心として取り組んでいる活動】
1. 消費者ニーズを捉えた安全で良質な農産物の提供
安全安心を消費者に提供するために、JA生産部会を核とした部会まるごとエコファーマー の確保や生産加工グループの地元食材を利用した新しい商品の開発が進み、安全安心な食材提供者の 確保や地産地消運動を担う人材が育っている。
こうした取組により、昨年度はそら豆部会など3部会94名が新規にエコファーマーの認定を受け、今年度も2部会が認定準備をするなど、生産者の意識向上に繋がっている。
併せて、特別栽培農産物生産を推進して、消費者ニーズに応じた農産物生産に取り組むなど、消費者側に立った取り組みを展開している。
各農産物直売所での地産地消啓発運動の展開と併せ、地場農産物の販売拡大を図るため、管内各農産物直売施設が連携し、農作業体験などの消費者交流など合同イベントの開催や情報交換を行っている。
また、地産地消運動として、消費者とのふれあいをより濃密にするため、会員制度を導入し、各種イベントへの参加案内など、消費者との交流促進に努めている。
こうした活動の効果もあって、管内2直売所の売上げが1〜2億円になるなど、管内直売所の売上げは年々向上している。
   
2. 子どもたちへの食育の推進
「子どもたちに緑のシャワーを」事業を立ち上げ、若い新規就農者グループによる学校や校外での農作業体験の実施や発表会の開催、学校給食への地元産の米、野菜、手作り味噌などの供給、「オール地産地消給食週間」の設定など次代を担う子どもたちへの食と農の啓発を行っている。
こうした活動を通して、子どもたちの農業への理解や、地域の食文化への関心が高まってきている。
   
3. 伝統食の復興と新たな郷土料理の開発
郷土料理の名人(伝承人)として「グランママシスターズ」制度を立ち上げ、郷土料理実演会の開催やレシピ集の作成など、地元食材を利用した郷土料理の伝承や普及活動を行っている。
このグランママシスターズは5代目となり、継続性のある活動として評価できる。
地場農産物の更なる利用拡大と郷土料理の伝承のため、観光業者と連携し観光客を対象とした各種イベントでの料理紹介などを行っている。
その他、消費者ニーズに対応し、郷土料理を手軽に食べられる「地産地消弁当」の製造やおせち料理の販売などを行い、コンビニエンスストアと提携した販売に繋がるなどの効果がみられ、消費者からも好評を得ている。
 
活動参加者  
  生産者  400名 地産地消隊、JA女性部、新規就農者グループ、グランママシスターズ、給食グループ)
  消費者 1,000名 (平成16年度各種イベント参加者)
  その他   300名 (関連事業参加小中学生)
 
 
きりたんぽづくり
    そばうち体験

農林水産大臣賞
【交流促進部門】  
表彰団体名 世羅高原6次産業ネットワーク
代 表 者 井上 幸枝
所 在 地 広島県世羅郡世羅町西上原
 
表彰理由
「世羅高原6次産業ネットワーク」は、広島県世羅高原(世羅町、世羅西町、甲山町、平成16年10月合併し世羅町)に散在する地産地消関連の1次産業から2次、3次産業までの生産者45団体をネットワークでむすび、それぞれの特徴を活かして地産地消運動の相乗効果を高めている代表的事例である。
平成9年度「農村地域6次産業推進事業(広島県)」を契機にで結成され、「フルーツ」「フラワー」「広大な農地」、「香り」の4つのイメージを地域づくりのメーンテーマとし「産地ブランド化」「イベント企画」「アンテナショップの開設」「分かりやすい案内看板の設置」の5つの事業を展開し、世羅高原への入れ込み客数は、平成8年度の42万人から16年度の113万人に、売上高も8.4億円から13億円に増大するなど地域振興に大きな役割を果たしている。
本ネットワークに参加する45団体(フルーツ農園7、直売農園11、産直市場4、加工グループ12等)は、お互いに連携し、人材、資源、施設を活用し、足りないものを補い合って商品開発、イベント、PRを一丸となって推進している。
「6次産業」推進のために、推進体制の確立、ビジョンづくりに加え、商店経営コンサルタントを講師に招いての「マネージメントセミナー」などのリーダー育成や地場農産物を原料にした50品目もの加工品の開発による世羅高原ブランド産品の認定などの多くの成果がある。
これまでの活動の更なる発展のため、ネットワーク会員のコア施設として、来春ファーマーズマーケットをオープンし、世羅高原ブランドの発信基地とすることを計画している。
以上のように町内の地産地消関連団体をネットワークでむすび、農村地域6次産業化をキーワードに、それぞれの特徴を活かした全町(世羅高原)農村公園化に成功し、多くの都市住民との交流が行われている。地産地消のネットワーク化と相乗効果による総合力の発揮の先進事例として高く評価される。
 
【中心として取り組んでいる活動】
1. ネットワークによる地域ブランド化等の推進
活動の理念は、生産者のネットワークによる地域丸ごとブランド化で、キャッチフレーズを「元気を売りますせら夢高原!元気を買いにせら夢高原!」として取り組み、元気を提供している。
イベントの開催
広島市にあるアンテナショップ「ひろしま夢ぷらざ」での春と夏の各2週間にわたるイベントを開催し、世羅高原のPRと市場調査を実施。この中では、生産者が毎日対面で特産品販売を行うほか、交流の場をつくり、日替わりで梨のスムージやテンペなどの料理講習を行いながら商品紹介を実施。毎回450万円前後の売り上げがあり、世羅高原のPRとしても有効。
大型イベント「フルーツ王国せら高原夢まつり」を開催し、会員全員で、産品販売テント村・屋台食べ歩き街道・特産品を使ったクッキング・体験コーナー・フルーツオリンピック・フルーツやこだわり産品展示などを実施。2日間で2万人〜3万人の入場者。
産品試食会
   会員の産品を集めて1年に1回開催。過去1年間のうちに開発した新しい商品を持ち寄り、試食と情報交換や商品力を高める場としている。
  毎回40点以上の産品が集まり、その結果、協力してアンテナショップへ出せる自信となり、セミナーなどで研究開発した商品も加え、200〜300種類の産品をひろしま夢ぷらざへ出品している。
     
2. ブランド認定
   ネットワーク会員が作る産品をブランド化するため、認定委員会を設立し、会員が作る地場産の産物を認証。認定された産品は200点に及び、町のシンボルマークを使った認定シールを作り、シールを貼り販売。
     
3. 会員相互が協力し地産地消を推進
 会員による直売所19ヵ所の手数料や搬入方法等を調整し、会員相互の産品販売協力体制が確立。直売所に参加する会員が増え、現在4箇所で約600人ほどになり、若い農業者も就農するようになった。
  また、特に観光農園に少なかった地場産品をネットワークにより、みやげとして、アイスクリームなどの地場オリジナル加工品の委託販売するなど、会員相互の人材や技術・施設を活用する取り組みを開始。
 
ひろしま夢ぷらざ
 
フルーツ王国せら高原夢まつり
〔 参 考 〕
6次産業とは、1次産業に2次産業・3次産業を掛け合わせて6次になるという造語で、農業のトータル産業化をいうものだった。1.5次産品に対して、見る・食べる・触れる・泊ると言う消費者ニーズを考慮し、農業経営の中に取り込んでいくことをいう。
 
農村地域6次産業推進のイメージ

農林水産省経営局長賞
表彰団体名 やぶ田ファーム
代 表 者 藪田秀行
所 在 地 北海道帯広市愛国町基線
 
表彰理由
やぶ田ファームは、藪田秀行氏が、15年勤めた食品加工会社を退職し、平成14年帯広市に新規就農、経営をはじめた。就農後まだ日が浅いが、安全で人に勧められる野菜の栽培と消費者と生産者が直接顔の見える直売にこだわり、地産地消運動を積極的に展開している。また、新規就農者たちで立ち上げた「新米百姓倶楽部」の代表で、実習生の受け入れなど後継者育成にも努力し、新しい視点から地産地消運動に大きな期待がされている。
硝酸値が通常の10分の1の野菜栽培を実施し、17年5月にJAS「有機認証」を取得。
販売は、レストランなどへの宅配と生産者と消費者の顔が見える直売所がメインで、消費者から高い評価。
地産地消推進に加え、後継者育成のための講師としても活躍。
 
 薮田氏は、民間会社を退職し、平成7年から帯広市主催の農業塾農業コースを受講、実践実習を経て、平成14年に野菜栽培農家として新規就農。
  食の安全安心が叫ばれる昨今、有機栽培の実践と、生産者と消費者とが直接「顔が見え、話ができる」地産地消を積極的、精力的に推進しており、販売経路は、直接生産者と消費者の顔が見える直売所をメインにレストランなどへの宅配。
  化学肥料・農薬を一切使用せず、抗生物質を使用していない飼料の豚糞尿主体の堆肥を使用した有機農業にこだわっている。近年、JASの「有機認証」を取得。
  特に、硝酸値が通常のおよそ10分の1と安全な野菜の栽培は地元では有名で、帯広市街地の北の屋台で6月〜11月は「夕やけ市」と称した直売所も毎日営業しており、大好評。
  また、「新米百姓倶楽部」という新規就農者達が立ち上げた団体の代表でもあり、後継者育成のため農業実習生を受け入れ指導する傍ら、各種イベントで地産地消推進等の講演会講師としても活躍。
  地域農業の振興への貢献、地場農産物の理解の促進、消費者ニーズにあった地場農産物の生産・加工技術等の伝承・普及等の幅広い活動に新しい感覚で参画し地域のリーダーとしての行動は高く評価。  
 
【中心として取り組んでいる活動】
帯広駅北野菜広場・帯広北の屋台「夕焼け市」(直売所)
帯広市愛国町農協直売所への出荷野菜
タアサイ、バジル、パセリ、ゆき菜、ラディッシュ、小松菜、春菊、コールラビ、セロリ、トレビス、レタス、芽キャベツ、山くらげ、赤キャベツ、キャベツ、ブロッコリー、ズッキーニ、メロン、タマネギ、コーン、人参、ネギ、枝豆など
コミュニティーFMおびひろ市民ラジオに出演(不定期)
    有機農業の説明、新規就農者の紹介、各種イベントへの参加
帯広市等主催のイベント・講演会講師
  @十勝ふるさと農学校講師(帯広市主催)A「畑の中の講習会」(帯広市主催)
B農業実習受け入れ

農林水産省農村振興局長賞
表彰団体名 株式会社 ホテルキャッスル
代 表 者 本田 喜義
所 在 地 山形県山形市十日町
 
表彰理由
株式会社 ホテルキャッスルは、平成13年6月から、地産地消朝食バイキングや、地域食材による季節毎の各種イベントを開催し、地域食材の特徴を引き出し、それぞれの旬を演出したホテル経営は、顧客サービスの新機軸であり、異種業界の地産地消運動への参加として高く評価される。
県主催の事業「むらやま地域伝統料理教室」等に積極的に参加するとともに、地元JAと連携し地域食材による創作料理を提供。
 
 ホテルキャッスルは、山形市中心部に所在し、各種会議やイベントでも利用される都市型ホテル(客室数159室)である。代表の本田氏は、以前から地元食文化への貢献に関心があり、他施設との差別化と顧客満足度の向上のために業態変更を行うなかで、県産農産物の積極的な活用を行うべく地産地消朝食バイキングを平成13年度に導入した。また、同年おいしい山形推進機構村山地域地産地消推進本部の委員に選任されたこともあり、季節に応じたイベントの開催や地域の新しい食材の利用促進、さらには地元農協との連携強化などによる地産地消の一層の推進に取り組んでいる。また、おいしい山形推進機構村山地域地産地消推進本部(県村山総合支庁農業振興課事務局)の委員、県(おいしい山形推進機構等)主催の事業への積極的な参画など氏の果たすべき役割は大きい。
 
【中心として取り組んでいる活動】
地産地消朝食バイキング(平成13年6月から)
 旬の食材の使用と、郷土料理の紹介を行うとともに、食材の生産地域や行事を掲載した オリジナルランチョンマットによりPR。             
 また、季節ごとの企画により、消費者へ旬の食材を使用した料理の提供を行い、地場農 産物の旬の理解を促進。
季節ごとのイベント開催
 「地産地消・山形初夏のFoodexParty(H17)」「桜花会席と県名産酒の饗宴(H15)」「む らやま新中国薬膳料理(H15)」など季節の食材の提供や地元食材を使用した加工品の展示 ・試食、新しい地域の食材であるダチョウ(朝日町)、上海蟹(山辺町)を活用した新作料 理の提供など。ダチョウ、上海蟹はイベント以外にも予約制による提供を実施。
県主催の事業への参画
 「むらやま地域振興フォーラム」「むらやま地域伝統料理教室」を共催し、新しい地産地 消メニューの開発や、ホテル旅館業への情報提供、伝統料理の継承を推進。
農協との連携の強化
 「食の芸術祭」を主催し、地元JAと連携しながら、郷土料理、県産ワイン、地域食材 による創作料理などを広く提供。

久那瀬農産物販売組合
表彰団体名 久那瀬農産物販売組合
代 表 者 國安 喜一郎
所 在 地 栃木県那須郡那珂川町久那瀬
 
表彰理由
久那瀬農産物販売組合は、栃木県内に直売所がほとんど無い昭和62年に生産者37名で組織(現活動参加者:生産者68名)し、多彩な農産物の計画的な栽培、会員による加工食品の製造、各種イベントの開催などの創意工夫により、順調に売り上げを伸ばし、安定した経営を進めている。18年間の長期にわたる地道な活動は、直売所を核とした地産地消、地域振興の模範的な事例である。
 
 18年間の実績とその存在は、隣近所や消費者が集まり、環境保全、地域づくりの話ができる場となっている。また、消費者からの地域農産物の評価は、特に農村女性の就農を促進し遊んでいる農地の活用につながっている。
 また、南那須地方の22カ所の農産物直売所で組織する那須南地域農産物直売所連絡協議会のリーダーとして活躍している。
  さらに、自治体とも協力関係を構築し、学校給食センターの要望に応え、地域農産物の学校給食のための計画的な野菜の生産供給と、子供たちの農業理解を深めるために積極的に協力し、地域社会への貢献も大きい。
  現在は地域コミュニティの中心としての役割を担い、直売所を核として中山間地においても若者が残るような農業経営を目指しその期待が大きい。
 
【中心として取り組んでいる活動】
活発な直売活動
 直売所は年中無休を基本として、新鮮で品揃えを豊富にすることに心がけており、年間売り上げが1億円を10年余の間継続。
イベント等による消費者との交流
 組合内にイベント部会を組織し、5月のゴールデンウィークの花の風祭り等のイベントに協賛するとともに、収穫祭や年越しそば祭りを開催。
直売所の周囲に花を飾る
 平成16年に環境部会を組織し、地域のボランティアなどとともに、消費者や地域住民が憩える直売所のため、ゴミ拾いを行い、花を道路脇に植えるなど景観にも配慮。
学校給食への野菜の供給
 学校給食センターの要望に応え、子供たちの学校給食のために計画的に野菜を生産して供給するとともに、子供たちの農業理解を深めるために協力。
少量多品目の計画生産
 直売所の益金から高齢者に30坪のパイプハウスを提供し、冬場の野菜生産が少ないときに計画的に生産し、販売するよう努力。
 また、野菜作付の栽培検討会や先進地視察等を行い、品質の向上や店の販売方法の工夫を行う。

農林水産省総合食料局長賞
表彰団体名 旬菜.comねっと
代 表 者 米岡 房直
所 在 地 福井県越前市矢船町
 
表彰理由
旬菜.comねっとは、(株)武生青果が中心となって地場野菜を地元量販店にインショップとして直売するシステムであり、平成14年6月に設立した。野菜の地場生産の後退と地方卸売市場の転送市場化が進むなか、地産地衝を核とした地方卸売市場のサバイバルとして評価できる。
(株)武生青果、南越地区内3JA及び農業者で構成(活動参加者:(平成16年度)生産者個人52名,団体23組,消費者28名外)
地場農産物を地元量販店(12店舗)で販売するため、卸が核となり、直売所型のインショップの知恵と、卸売市場の販売ルートや社会インフラ、既存の配送システムをうまく活用したユニークなシステムを構築。
 
 生産者、農協と地元武生市場、量販店とが連携し、地場農産物を「旬菜.com」のブランド名で地元の量販店で販売する新たな生産・流通システムとして画期的である。この流通システムによって、消費者は量販店のコーナーにおいて商品の生産情報や特長が一目でわかるようになり安心感が得られる一方、生産者はコンテナ出荷や出荷規格の簡素化により流通コストを低減し、所得の安定化が図られている。
 また、学校給食への地場産食材供給も大幅にのびてきており、食育や人づくり、地域づくりという観点から地産地消に大きく貢献している。
 地元市場である武生青果株式会社が市場のノウハウを活かして事務局を担い、越前市、鯖江市、池田町、南越前町にまたがる南越地区内の3JA及び先進的な生産者で構成し、地場農産物の消費者ニーズに対して的確に対応しており、現在の取扱高は大きくはないが今後の地域の方向性を示す活動として評価される。
 
【中心として取り組んでいる活動】
「顔が見え、話ができる」取組
 量販店の旬菜.comコーナーには、商品毎に生産者の顔写真を掲示し、生産者がわかるように表示。また、取扱農産物は生産工程管理表の提出を義務づけ事前に事務局が農薬使用などをチェックし販売。
 生産者と消費者の距離を近づけるため、量販店において年間20回程度の試食対面販売を行う。
 平成15年11月に、旬菜.comの応援団として消費者28名からなる旬菜サポーターズクラブを結成され、商品や売場に対する意見や提案が得られる体制が取られており、商品改善に繋げている。
費者ニーズにあった地場農産物の生産
 旬菜.comねっとでは、トマト部会、キュウリ部会、花き部会、加工品部会等 13の生産部会において生産者の出荷計画に基づき出荷量の調整がなされている。消費者ニーズにあった生産に近づける方策をとっている。特に、量販店からのニーズの高い軟弱野菜については、生産者間の品目調整を行いながら前年対比2倍を目標に生産強化が進められている。販売価格は、原則生産者が設定。
 学校給食については、減農薬・減化学肥料農産物のニーズに応えて、県特別栽培農産物の認証を受けた商品を優先的に供給している。
地域特産物の加工等の取組
 農村女性の起業グループにより、餅やソバ、コンニャクなどの伝統的加工品や合成保存料無添加の味噌、煮豆、ジャムなどこだわりの加工品が生産されており、旬菜.comを利用して販路拡大。
環境保全、資源循環への寄与
 旬菜.comの商品流通は、通いコンテナ(青果物用、加工品用、学校給食用の3種類)を使用し、ダンボール箱等の包装資材を節約。

農林水産省生産局長賞
表彰団体名 手づくりハムのばあく
代 表 者 泉澤 ちゑ子
所 在 地 奈良県五條市小和町
 
表彰理由
手づくりハムのばあくは、豚一頭の肉を残さず食べ切ることをモットーに、こだわりの地場農産物・加工品を消費者に提供する女性たちが中心となった地産地消活動であり、農家、加工業者とのネットワーク、都市農村交流、異種行間交流とその輪は大きく広がり地域活性化のパイオニアと評価されている。
 昭和58年手づくりハムのばあく」を結成、平成9年「ばあくのゲストハウス&ソーセージ工房」をオープン、(現会員:農家・非農家12名)
小規模で大きな収益をあげる工夫、資源循環型農業の実践、地元産の原料へのこだわり、おいしさの追求、地元に根付いた活動等をモットーに長年にわたり活動
 
 原料となる豚を飼育している泉澤農場の呼びかけでスタートした「手作りハムのばあく」は、食の安全に関心のある生産者や消費者が集まって「豚肉を食べる会」を結成したことから始まった取組が、生産者自らがこだわりの地場農産物・加工品を消費者に提供する地産地消活動へと発展してきた。小規模なグループによる起業からスタートした「手作りハムのばあく」は、生産者・消費者、地域の加工製造業者とネットワークを形成し、都市農村交流だけでなく、異業種間交流の輪も広がってきおり、小グループによる起業の模範として期待できる。
 
【中心として取り組んでいる活動】
小規模で大きな利益をあげる工夫
 泉澤農場は、自家で糞尿処理し、地元の田畑に還元できるだけの範囲で養豚を営んで、母豚が25頭という小規模な養豚農家であるが、黒豚のハーフ(1/2バークシャー種)にこだわりの自家配合飼料で、通常6ヶ月のところを7〜7.5ヶ月かけてじっくりと育てている。その豚肉をばあくが仕入れ、付加価値を付けて販売しており、最近では、デユロック種と黒豚をかけ合わせたこだわりの豚「とん霜」も飼育し、さらに付加価値を付けた販売を行っている。
地元産の原料にこだわる
 豚肉はもちろん、ハムやベーコン、ソーセージの材料だけでなく、燻製材も地元の山桜を使用するなど地元産の原料を使用。
厳しい衛生基準をクリアし、おいしさを追究
 ばあくでは、保存料などの添加物は一切使用していない。食肉加工品は長期保存が難しく、食肉製品製造業の許可には食品衛生法で厳しい衛生基準が課せられているが、地道な活動の結果これをクリアし、平成元年には一般消費者にも販売が可能となり、宅配や直売の顧客が飛躍的に増加。また、消費者の感想や意見を参考にしながらおいしさを追求。
ばあく風うきうきグリーンツーリズム
 ばあくでは、メンバーが講師を務める「チャレンジソーセージづくり体験」を行って、参加者に自分で作ったソーセージを食べ、ゲストハウスでゆったりとおしゃべりを楽しんでもらうことで「田舎の魅力」を知ってもらっている。
 また、ゲストハウス(レストラン)は、ゆったりとした農村風景の中で豚肉と地元の農産物を使った料理を楽しんでもらうことを目的に建設。    
 料理に使用される食材は、豚肉はもちろんのこと、野菜や果樹、米、ハーブ類はメンバーが栽培するものを使用したり、契約している農家や近くのJA直売所から仕入れるなど徹底して地産地消にこだわる。
 近年、スローフードの概念が注目されているが、ばあくは20年以上も前からその土地で生産された農産物をその土地の風景の中でゆったりと味わう活動を継続。
年に一度のイベント「食の乱反射」の開催
 地域の農家や加工製造業者と協力して、毎年秋に「食の乱反射」というイベントを開催しており、平成17年度で9回目となる。イベント当日は、それぞれの生産者が自らの食材を使った料理を提供したり、豚の解体やハーブのクラフトなどのワークショップもあり、消費者と生産者が出会い、対話できる場となり、参加者は年々増加しており、平成16年度は1,000人を超える盛況。

農林水産省生産局長賞
表彰団体名 NPO法人 まめだがネット
代 表 者 伊藤 素
所 在 地 島根県出雲市佐田町反辺
 
表彰理由
NPO法人「まめだがネット」は、出雲市佐田町の諸団体が連携し地域農業が持つ様々な可能性を地産地消の運動をとおして引き出し、中山間地域の人と資源を活用した新たな農業・農村のあり方を実証しつつある先進事例として評価できる(現会員数:生産者174名)。
産直市場(アンテナショップ)、量販店での直接販売のほか、インターネットを使って栽培履歴などを情報発信。
独自の野菜認証制度を導入し、付加価値を向上。
 
 まめだがネットは、平成16年10月22日に設立。@農家に野菜を作り、売ることの楽しさの実現、A農家の生きがいと健康づくり、仲間づくり、B佐田町野菜のブランド確立を目標に、着実に活動を行っている。
 中山間地域にあって「産直」を一つのキーワードとして、都市との交流を促進し、消費者との信頼で成り立つ農業を実践している。
 今後、「育む=産直野菜の高品質化と安定生産の実現」、「結ぶ=まめだがネットの内外への拡大と流通・販売機能の強化」、「挑む=魅力ある新商品の開発と機能性を付加した加工技術の開発」の3指標を掲げ、中山間地の人と資源を活用した新たな農業の形態を確立を目指しており期待は大きい。
 
【中心として取り組んでいる活動】
産直市場(アンテナショップ)での直接販売
@
「すさのおの里」市街地で週3回営業。農家による直接野菜販売として好評。
A
「雲海の館」温泉施設、須佐神社に隣接し野菜や加工品を販売。温泉利用者をターゲットに中山間地の野菜をPR。
量販店での販売
 
@
スーパーイズミ出雲店、斐川店他
    佐田野菜特設コーナーを設けて販売。地場産として人気。
 
A
その他、JAいずも店舗等での販売やイズミのイベントでの販売等地元での販路を拡大。
佐田町野菜認証制度(30品目)
  目的;佐田町野菜のブランド性を高め、もって農家の所得向上につなげる。
    基準;@土づくり…エコ堆肥を1t/10a使用
    A減農薬……品目ごとに使用回数を制限
    B肥料………有機質肥料を50%以上投入
    効果;独自の認証制度により、より佐田野菜の品質を安定させ、特徴をPR。
野菜集荷・配送システム
     2t冷蔵車を購入し、野菜を集出荷(町内の集荷拠点、各店舗)。生産者の利便性向上を図るとともに、佐田野菜のブランド性を高める。
まめだがネット通心システム
   インターネットを使って野菜の栽培履歴や佐田町の情報発信。野菜の安全性PR、生産者の自己管理が可能。
  @ 特産品のインターネット通販
  A 栽培履歴公開システム…生産者の野菜作りに対する思い、顔写真、栽培履歴、出荷野菜一覧等
B 産直市場や量販店に専用端末を設置…消費者は商品ラベルの生産者番号や品目をタッチパネルで入力し、栽培履歴がわかる

農林水産省経営局長賞
表彰団体名 鳴神の庄 出荷者協議会
代 表 者 諸熊 雅博
所 在 地 佐賀県七山村大字滝川 (現在:唐津市七山滝川)
 
表彰理由
鳴神の庄 出荷者協議会は、第3セクターの経営する直売所「鳴神の庄」に出荷する生産者の集まりであり、高冷地の特徴を活かした土づくり、品種選択、栽培技術、特産品開発等基本技術の確立を核に、安心・安全と安定供給に成功している事例で、中山間地域の農業振興、地域活性化の模範として評価できる。
平成4年4月村内全14集落の役員、生産7部会・加工1部会の代表で構成する「鳴神の庄出荷協議会」設立
安全・安心な農産物の生産研究、各種イベントの企画に関わり、地域起こしの中心として活動
高齢者、主婦など幅広い活動を展開し、生き甲斐や健康づくり、農地の荒廃防止等の役割を果たしている。
 
 昭和61年12月、村内の国道沿いに点在していた無人販売所を一カ所に集め、七山村が運営する農産物直売所「鳴神の庄」がおーぷんし、昭和63年に「七山村振興協議会」が設立され、「鳴神の庄」を核とした農業振興と地域活性化に取り組む体制を整備した。平成4年4月に組織の見直しにより「鳴神の庄」部会が独立し、「鳴神の庄出荷者協議会」となり、平成6年4月「株式会社鳴神の庄」(七山村を主体とする第3セクター)を設立した。
 以来、農産物等の販売促進はもとより、安全・安心な農産物の生産研究や運営・各種イベント企画などに積極的に関わり、平成15年度には、積極的に経営にも参画したいとして、53名の個人株主(1人2口10万円)が誕生し、地域起こしの重要な柱となっている。
 また、直売所において村内で生産された農産物や農産加工品を販売することにより、高齢者や主婦など幅広く経済活動の機会を拡げるとともに、農作業による生きがいや健康づくり、農地の荒廃防止等にもつながっている。
 このように、「鳴神の庄」とこれを支える出荷者協議会は、七山村農業の振興を図るうえで、欠くことのできないものである。
 また、「鳴神の庄」は、年間約3億円を販売する、村を代表する小売業であり、また、村内で生産された農産物や農産加工品を同直売所で年間100万円以上販売する生産者は約50人おり、高齢者や女性などに幅広く経済活動のチャンスを拡げ、農作業等による生きがいや健康づくり、農地の荒廃防止等七山村の活性化に大きく寄与しており、今後の地産地消運動の模範と言える。
 
【中心として取り組んでいる活動】
 「鳴神の庄出荷者協議会」は、会長、副会長を中心に各集落の地区役員、各生産部会の代表者と相互に連携をとりながら運営されており、地区役員会を2ヶ月に1回定期的に開催し、組織の運営やイベントの企画、売上等の情報交換を行う。
 また、出荷者全員に対し、年1回の総会、全体研修会、先進地視察研修を実施し、お互いの親睦と交流を図っている。
 「鳴神の庄」の特徴は、「新鮮・親切・信頼」を運営方針に、村内在住生産者が出荷した農林産物の委託販売所ということである。出荷品は七山村で生産されたもの(加工品は許可のあるものに限る)だけであり、価格は各自で設定し、売れ残り品は当日閉店後、必ず持ち帰ることとなっている。このことは、安全・安心な食料(食品)を求める消費者のニーズに応え、生産者の顔も見えるということで、消費者との新しい交流関係が生まれている。また、特産野菜や有機野菜等、少量多品目の生産に努めている。
 生産部会では、きゅうり、なす、わさび、生姜、梅、お茶などの部会ごとに、栽培技術の確立や新たな品種の検討、農産加工品の新商品作りの提案を行っており、消費者のニーズに応えるべく、安全・安心な農林産物の生産拡大と付加価値作りに取り組んでいる。
 また、これまでの活動の中で地産地消に取り組む農家が中心となって、都市の一般消費者を農家に宿泊させ、農作業を体験しつつ、農業への理解醸成を図るなど、地産地消に積極的に取り組んでいる。

農林水産省生産局長賞
表彰団体名 ファーマーズマーケットいとまん「うまんちゅ市場」
代 表 者 山城 隆則
所 在 地 沖縄県糸満市西崎町
 
表彰理由
ファーマーズマーケットいとまん「うまんちゅ市場」は、伝統野菜の掘り起こし、新たな品目の導入等、生産・供給体制を確立し「新鮮」「安心」「安さ」をキャッチフレーズに消費者から高い支持を受けている。
平成14年11月ファーマーズマーケットいとまん「うまんちゅう市場」開業(活動参加者(出荷者):710名)
毎月第2土・日「フリーマケットまつり」、アイデア料理紹介、「ゴーヤの日」などの消費キャンペーン、感謝祭などを開催
新鮮な品揃え、生産者の顔をうる、安全・安心などをモットーに活動し、16年度は約5億円の売り上げ
 
 ファーマーズいとまん「うまんちゅ市場」は、平成14年11月開業。以降、多種多様な伝統野菜や熱帯フルーツ・花卉など年々品揃えが充実する目覚ましい業績を上げており、また、生産者と都市部住民との交流も常時行われ、糸満市全体の「地域活性化」に大きく貢献している。
 生産面では、現在710名の「ファーマーズ生産会員」がおり、季節にあわせて朝採り野菜の「新鮮さ」・つくり手の顔が見える「安心感」・産地直売の「安さ」にこだわった取組がされている。また、消費者との交流イベントは、「食」や「体験」を通じ、誰もが来て、見て楽しめる企画で、市内のみならず近郊の都市から多くの消費者の参加を得ている。
 さらに、「うまんちゅ市場」は、県・市・JAと一体となり、出荷生産者との勉強会やトレーサビリティやJAS表示の説明会を積極的に取り入れており高い評価を得ている。
 
【中心として取り組んでいる活動】
年間を通した交流イベント、食の安全・安心の勉強会等の開催
 毎月の第2土・日曜日「フリーマーケットまつり」、オープン周年感謝祭、農産物豊年祭、決算感謝祭、うまんちゅ祭り、ニンジンの日、ゴーヤーの日、パッションフルーツまつり、年末年始、お盆の伝統料理の食材の特売の開催、アイデア伝統料理の紹介等消費拡大キャンペーンを実施。
 これら、イベントや消費者、生産者との勉強会をとおし、安全・安心な農作物の栽培への心がけを高めるとともに、新鮮野菜の出荷・販売管理の周知を行っており、基本理念のもと魅力ある運営に努力。
活動の成果
   ファーマーズマーケットいとまん「うまんちゅう市場」の活動は、直売所の機能を有しているだけでなく、地域食材の販促活動の支援や消費者との交流イベントをとおし食材の種類や利用方法を学ぶ機会の提供、また全国のファーマーズマーケットと連携した食材の融通活動を通し伝統野菜の紹介や中・高校生の職場体験学習の受入、地域農業改良普及センターと連携した「在来野菜の掘り起こし会」を立ち上げるなど、地域コミュニケーションの場として幅広い活動を展開。
 このような活動を通し、消費者にとってこれまで得られにくかった生産地の情報や生産者の顔が見えることで安心さが伝わり、見直される食材も多い。
 また、生産者においても消費者の反応が直に感じられることから、安全性の意識や出荷から商品陳列までの品質管理の必要性について自ら工夫する姿勢が育ち、さらに、ファーマーズマーケットいとまん「うまんちゅう市場」では、部会相互の食の安全性を認識し合う取組として「安全・安心」農産物推進運動(平成17年より)を展開し、生産管理記帳周知を進めている。
 県内初のファーマーズマーケットとして、作り手の顔が見え、朝取り野菜の新鮮さ認められ、産地直売の安さがある等の確かな信頼が定着し始めている。